SUMI-E WORKSHOP
水墨画講座
BASIC BRUSH STROKES
まずはこれだけ
水墨画の伝統描法には、用筆(運筆)や用墨(濃淡など)によってさまざまな技術がありますが、ここでは人物画を描く際によく使われる基本的な描法の一部を紹介します。
【直筆】
筆の軸を紙に対して垂直にして描くことです。
穂先は常に線や面の中央にあるように描きます。
中鋒ともいいます。
筆は上下左右、どちらの方向へ運んでもかまいません。
右利きの場合、左から右へ、上から下へ筆を運ぶことを順手(じゅんて)、その逆を逆手(さかて)といいます。
【側筆】
筆の軸を紙に対して傾けて穂の腹を使って描くことです。
穂先は線の片側を通ります。
面を表すのに向いています。
【散筆】
穂先を左右に開き、筆を自由に動かして描きます。
穂の根元まで絵皿に押しつけるようにして穂先をバラバラにします。
味わいのある線が表現できます。
【潤筆】
穂に墨や水をたっぷり含ませて描くことです。
しっとりした質感やにじみの表現ができます。
【渇筆】
穂の水分を減らして描くことです。
墨をつけた穂をタオルに押しつけるようにして水分を取ります。
乾いた質感を表現できます。
用筆だけで十分な表現ができますが、さらに墨の濃淡や乾湿を使い分けることにより、表現の幅をいっそう広げることができます。
【濃淡乾湿】
墨の色には多彩な変化があります。
焦墨・濃墨・淡墨という濃淡の差と、乾墨・湿墨という水分量の違いにより変化をつけることができるのです。
墨と水の調整によって繊細なグラデーションが生まれ、明暗や奥行き、質感、色彩など水墨画らしい表現が可能となります。
【溌墨法】
墨の濃淡を用いた表現法のひとつです。
筆に水をたっぷり含ませ、穂先に少し墨をつけて、筆を紙から離さずに穂の腹全体で一気に描きます。
人物を描くときは、胴体や衣装などの面積の大きな部分に適用できます。
【破墨法】
墨の濃淡を用いた表現法のひとつで、にじみを駆使する描法です。
先に描いた墨が乾かないうちに墨を重ねます。
湿墨の上に濃墨を載せたり、濃墨の上に水を載せるなどさまざまなバリエーションがあります。
【鉤勒法と没骨法】
鉤勒法(こうろくほう)とは物の形の輪郭を線によってあらわす描法のことで、没骨法(もっこつほう)とは輪郭線を引かずに面で表す描法のことです。
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